インボイス制度に思う

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第9条を変更すればいいじゃないですか!?

あっ憲法の話ではなくて消費税法の話ね。

消費税法 第9条
事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が1,000万円以下である者については、第5条第1項の規定にかかわらず、その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき、消費税を納める義務を免除する。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
消費税法はこちら⇒消費税法

2023年10月からインボイス制度が始まります。
現在ふふはり亭は、年間売上が1,000万円もいかないので免税事業者です。料金は税込み表示としておりますが、消費税を納めておりません。これは消費税法第9条に従った合法なものです。
料金表はこちら⇒宿泊料金・空室状況

さて、インボイス制度が始まると適格請求書発行事業者に登録した事業者だけが「適格請求書」を発行出来るようになり、免税事業者は発行できなくなります。
適格請求書を発行できないとどうなるかというと、個人のお客様にとってはなんの影響もないのですが、法人等の方が出張等でふふはり亭に泊まった場合に、当方に支払った宿泊費を経費として計上する時に消費税込みで払ったはずなのにその分の消費税を払ったということにならないため、その会社は確定申告等の際に消費税額控除が出来ず、別途その分の消費税分を税務署に納めなくてはならなくなります。
その会社はそういうことを避けるために免税事業者の宿は利用しないということになるでしょう。
では宿側は適格請求書発行事業者に登録すればいいかというと、そうした場合は売り上げ1,000万円以下の事業者でも消費税分を納税する義務が発生します。もともと1,000万円以上の売り上げがある事業者は以前から消費税を納税しているので問題ないでしょうけど、例えば年間売り上げ300万円くらいの事業者はその10%の消費税分30万円(実際にはそこから仕入れ等で経費として支払った金額の消費税分を控除した額)も毎年払う税金が一気に増えることになります。

インボイス制度は例えばフリーランスの個人事業主で親会社との間で契約を結んで仕事をしているような方(ウーバーイーツとか漫画家とか)にとっては影響が大きいでしょう。個人事業主側が適格請求書発行事業者に登録しなければ親会社側が損をすることになり個人事業主側は契約を打ち切られる可能性があるし、かといって登録すれば今まで細々と稼いでいた方はいきなり消費税分の納税義務が生じて生活が苦しくなる可能性があるわけですから。インボイス制度が始まることを機に廃業を決めている方も多いと聞きます。
ただ私達宿業にとってのお客様はほぼ個人の皆様なので、ふふはり亭が適格請求書発行事業者にならなくともほぼ大勢に影響はありません。一部法人のお客様がふふはり亭を利用しなくなる可能性はあります。

ここで疑問です。政府はなんでそんな面倒くさいことをするのか?
何でもインボイス制度の目的がお客様から預かった消費税を納税せずに益税としている事業者を減らして国の税収を増やしたいからと聞きました。
それだったら消費税法第9条を変えれば簡単に済む話ではないですか?「年間売上1,000万円以下の事業者は消費税を納めなくてよい」という法律を例えば「年間売上500万円以下の~」と変更するだけで消費税をもっと回収できるようになるではないですか。
それを(多分ですけど)莫大な予算、人員等をつぎ込んで新たなルールを作り、より事を複雑にしているとしか思えない。
またインボイス制度は世の中を分断する制度だといわれています。
現実に、ふふはり亭は免税事業者であり続けることにより個人のお客様に特化し一部の法人のお客様を切り捨てることになります。つまりインボイス制度は世の中を分断し、経済活動を委縮させる結果になるわけです。
あといろいろなサイト等でインボイス制度への批判も目にするんですけど、何故誰も消費税法第9条を変えればいいということに言及しないのかもよくわからない。私の理解が追い付いていないだけなのでしょうか。

まあどんな悪法・ルールになろうと私たちに出来ることは、そのルールを遵守し、その中で最大の効果を発揮し得る方法を取るだけです。
というわけで、今後ふふはり亭では以下のようにしようと考えています。
適格請求書発行事業者には登録せずに免税事業者であり続ける。
しかし「お客様から預かった消費税を納税しないのはずるい」という指摘もあるでしょう。(そもそも消費税法第9条で定められた正当な権利であり、だからそっちの法律を変えればいいじゃん?と言っているのですが)
その批判を回避するため、インボイス制度の始まる10月1日以降はいままで税込み表示としていたものを総額表示とし、消費税は頂かないこととします。
例えば、
今まで「一人利用 1泊2食付き 12,500円(消費税込)」としていたのは、
今後は「一人利用 1泊2食付き 12,500円(お支払総額) ※ふふはり亭は免税事業者のため消費税はいただいておりません」という表示になります。
尚、消費税法第63条において免税事業者は税込み表示をしなくてよい事になっています。

消費税法第六十三条
事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)は、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等(第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この条において同じ。)を行う場合(専ら他の事業者に課税資産の譲渡等を行う場合を除く。)において、あらかじめ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格を表示するときは、当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない

ところでふふはり亭も利用している楽天トラベルの予約システムは今のところ税抜き表示・総額表示の対応はしていないということです。今後そのような小規模な宿泊事業者は税抜き表示・総額表示に変更するところが増えるでしょうから楽天トラベルも対応してくれるものと思いますが、もし対応してくれない場合は楽天トラベルも退会して電話予約のみ受け付けることになる可能性があります。つまりここでも世の中の分断・経済活動の委縮が起こるわけですね。

・・・そうか! 私気づいてしまったかも。
もし消費税法を改正して1,000万円というボーダーラインを引き下げると一律増税になることにより、政府への反発は凄まじいものになるでしょう。そこでインボイス制度ですよ。国民を分断し国民同士をいがみ合わせることで、実質増税しながらも政府への批判をかわす。考えすぎ??

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